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知り合いから"宮古の黒糖"をいただいた。宮古では一年中サトウキビの緑の葉を見ることが出来るという。このサトウキビの絞り汁を濾過して煮詰めたものが「黒糖」である。
サトウキビの正式名称は「甘藷」(かんしょ)。高温多湿を好み、平均気温20度以上の土地で育つイネ科の多年草。原産はニューギニア。サトウキビはインドから世界に向けて広がったとされている。日本には奈良時代に中国から入り、黒砂糖は16世紀頃から沖縄で作られるようになったという。
「黒砂糖」はサトウキビを搾って煮詰めるだけのいたって素朴な製造法だが、白砂糖をはじめ三温糖やザラメなどは精製処理が必要で、その精製工程に於いて純度を上げるための脱色や脱臭に多くの食品製造溶剤を使っている。黒糖は精製した砂糖よりカルシウム、鉄、ナトリウム、カリウムが数十倍から数百倍多く含まれ、ビタミン類や酵素も含まれているという理由は、精製糖の製造工程ではこれらは「不純物」として除去されてしまうからなのだろう。
こういう人の手が直接かかっている、素朴な手作り品をいただくとその品物自体が持っている"力"が伝わってくるのか、美味しく食す為に腕まくりをして、がぜん張り切りたくなる。まずはその破片をそのまま口に入れてみる。黒砂糖特有の強い個性がその冷たい塊から静かに溶け出してくる。おそらく小さな工房で家内工業的に作られ、親戚や友人に配ったりしている・・・そんな様子が目に浮かんでくる。
 さっそく「黒糖」を少量の水で煮溶かして手作りの「黒蜜」を作ってみる。「黒蜜」の独特の強い甘味と風味は、ありがたい「不純物」の味かもしれない。
「黒蜜」は味が素朴、平坦で食感の良いものとの相性が良い。葛餅や寒天などとの相性は抜群だ。ちょっと冒険をして"豆腐"に直接黒蜜をかけてみる。冷たい豆腐のほんのりとした豆の甘味が黒蜜の個性で引き出される。食べる前は黒蜜の強さの方を想像していたのだが、反対に豆腐の味の柔らかさが強調され、その優しい味わいに驚く。
残った黒糖は包丁で削って粉状にし、こっくりとした味付けの豚の角煮に使おう。いや黒酢と合わせて中華風の炒め物もいいかもしれない。
今に残る昔ながらの食べ物を改めて知ること、家内工業的に生産されている手作りの貴重な食べ物の真価を知り得ることは今の日本を育てる貴重な資料のような気がしてならない。"本物の味"は美味しく味わうという行為を通 して食文化を次代に繋げることの豊かさを静かに教えてくれているのだ。 |