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大根の種類は様々で、タイプ別にヨーロッパ大根・中国大根・日本大根に分類され、日本大根の作型として春大根、夏大根、冬大根がある。野菜生産量 のトップである大根は、地域によって生産量の多少こそあれ、一年間を通して日本のどこかでは生産されているということなのだ。また品種には地域性もあり、その地域でその時期にしか出来ないという地方品種がある。桜島大根や守口大根、亀戸大根に三浦大根、練馬大根などはその「地方品種」にあたり、それぞれ個性のある味わい深い美味しい大根である。ところが約20年程前から、作りやすくて辛味が無く、甘い大根・・いわゆる「青首大根」が品種改良され、今ではその「青首大根」が生産の主流となっている。
「青首大根」は辛味が無く甘いことがその特長で、生でも良し、煮て良し、甘く食べ易く・・と三拍子揃い、大根の消費・活用には貢献度が高いのだろうが、その分地方品種が消えていってしまい“この季節にあの地方の大根”が店先に並ばなくなってしまったというのは少々寂しい話しでもある。
前置きが長くなってしまったが、「大根おろし」が大昔から、日本の料理を脇から静かに引き立ててきた歴史とその実績は、日本全国で育つ大根が四季を通して生産されることと、きっと関係しているに違いない。そして今、改めて「大根おろし」を添える料理を思い返してみると、何とありとあらゆる料理に、よくもこれだけ相性が合うものかと数えても限が無いほど出てくる。「鍋」「湯豆腐」にはおろしとポン酢、「天ぷら」や「揚げ物」に生姜とおろし、「焼き魚」に柑橘とおろし、おろしの「酢の物」、おろしの「和え物」、「ステーキ」「焼肉」にもおろしを添え、「大根おろしスパゲッティー」まである。科学的にはこうだ。消化酵素のジアスターゼが消化を助け食欲増進を促す。ビタミンCも豊富である。風邪の発熱や二日酔いにはおろしが効果的免。そういえば子どもの頃、お腹が悪いと土鍋で炊いたお粥におろしと梅干の食事がもの凄く美味しく思えたのを思い出す。咳止めやシップなどにも利用され、種子は咳止め用漢方処方に使われるとも聞く。もしかしたら日本人は「大根おろし」に支えられて生きてきたのかもしれない。
辛い大根おろしが好みならば白首大根の根に近い部分を直線的に力を入れて擦るのがよい。辛味の無い甘い大根おろしが好みなら青首大根の上部を木目の細かいおろし器で円を描きながら優しく擦るのがよい。いずれにしろ皮は剥かず、食べる直前におろすのが美味しい。
大根おろしを雪やみぞれになぞらえて「雪見鍋」や「みぞれ和え」などというネーミングは風情があってなかなかいいと思う。江戸初期に大根料理が全国に広がったという文献を手にしたが、その頃の人々はおそらく旬の食材の味だけでなく、その時期の季節感も賞味するゆとりとその度量があったのだろう。
今、この時代に生きて、歴史深い食文化の豊かさに触れる度に自然から恵まれる食材の真価を次代に伝えてゆく使命感のようなものを感じて止まない。

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