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そもそも「南蛮」という言葉は、江戸時代に「スペイン」「オランダ」「ポルトガル」などから日本に入ってきた食材や料理法などの総称として使われている。また、葱や唐辛子を使った料理を「南蛮」と呼んだりもする。ストレートに唐辛子そのものを「南蛮」と呼ぶこともある。
「かぐら南蛮」は新潟地方の在来の唐辛子。いわゆる普通の尖った形の唐辛子では無く、肉厚 で、まるで太ったピーマンのような姿形をし、ごつごつと横に広がっている。
唐辛子の日本への伝来は15世紀後半、江戸時代に各地に広まり、多くの栽培品種ができたという。それらはほとんどが辛味の強い品種で、その後、明治に入り導入された辛味の無いピーマンなどの品種と自然交雑して各地に在来種が生まれたと言われている。
「かぐら南蛮」は、新潟県の山古志村の在来品種の南蛮で、「かぐら面」に似た形状から「かぐら南蛮」と名付けられたという。ピーマンのような形をしているが、辛味もしっかりと強く、独特の風味と甘味が特長な南蛮である。
山古志村を中心とした周辺の地域では、「かぐら南蛮」を辛味噌に漬け込んだり、甘辛味噌に加工したり、又は醤油漬け、茄子炒め、などと「かぐら南蛮」を使った郷土料理が数多くある。
 中でも「かんずり」(薬味考Vol.1)に似た、“かぐら南蛮の麹漬け”は、絶品だ。味は「かんずり」に似ているが、ペースト状ではなく「かぐら南蛮」が粗微塵に刻まれ、麹のつぶつぶも残っている。「かぐら南蛮」の種も残っている。これを湯豆腐に添えたり、鍋ものの薬味として使うのだ。「かんずり」の繊細さに比べ、やや荒っぽい感じがするが、気取らない普段の鍋には、こちら方がダイナミックでいい。新しい味わいがするのは、“豆乳鍋”だ。豆乳鍋を受ける“とんすい”にこの「かぐら南蛮」とポン酢を少し溶き、熱々の豆腐や野菜を口に入れると、かぐら南蛮と麹の酸味が大豆のほんのりした甘味に混ざり合い、何とも幸せな気分になってくる。もう一つは、“揚げ餅と水菜・あられ豆腐の鍋”だ。これに「かぐら南蛮」の麹付けを添えて食すのもいい。身体が豊かに温まってゆく。
かぐら南蛮の特長は赤く色付く前の緑色のものも食べられる。緑色のかぐら南蛮を採ってきて茄子などと一緒に油味噌にして食べると美味い。赤くなったものも同様にして食べる。そして充分に売れたものを塩漬けし、更に刻んで麹で漬けたものが「かぐら南蛮の麹漬け」となる。やはり充分に赤く熟したものの方が辛味もしっかり回っていることが多いようだ。
他の唐辛子同様、ビタミンCやカロチンが含まれ、熟して赤くなるとその量は一層増える。殺菌効果も高いので唐辛子味噌を含む、南蛮味噌が長い期間腐らないのはそのためである。
とうがらしの種類には、「鷹の爪」「辛味唐辛子」「葉唐辛子」「しし唐」などいろいろあるが、まだまだ特長を持った在来品種が各地方に沢山ある。そしてそれらは各地の郷土料理に根ざし、その地域で日常の食文化に溶け込んでいるのだと思う。
最近はその地域の在来種を保存していくことの大切さとその認識が深まっている為か、地域の在来種を使った郷土料理の復興などが商品化されている例が少なくないが、その多くは保存料が多い所謂みやげ物商品になってしまっていたりする。その在来種本来の美 味しさをストレートに味わう機会がもっと増えるような秘策は無いものかと日々考えている。
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