生  姜

IMAGE今年の冬は寒い。暑い夏だと思っていたら、秋が無く、急に冬が来たと思ったら激しく寒い。3〜4年ぶりに風邪を引いてしまった。節々が痛く、嫌な寒気が取れない。いつもなら人の倍ほどある食欲もいまひとつ鈍い。身体のパワーがどんどん下がってゆくのが自分でよく判る。医者から出された風邪薬は飲んだが、もうひとつ身体の芯がどんどん冷え切っているような悪寒が続いた。

こんな時の特効薬がある。「おろし生姜と葱のみそ湯」だ。「生姜湯」は焼き生姜とハチミツの甘いドリンクだが、「「おろし生姜と葱のみそ湯」は即席の味噌汁風とでも言おうか、甘いものがダメな輩にも大丈夫なのだ。作り方はこうだ。おろし生姜小さじ1、刻み葱大さじ1、焼き味噌少々、梅干1個。これに熱湯を注いで飲むだけ。悪寒を鎮め咳を止める効果がある。確かにある。身体の芯からほかほかしてきて、うっすら汗ばむくらいだ。食欲が無かった胃もなぜかスッキリして元気が湧いてくる。上記に書いた材料を容器に入れてどこへでも持ち歩き、出先で熱いお湯だけ注げば、ちょっとした即席味噌汁だ。いやちょっとしたどころではない。今、流行の粉末味噌汁やフリーズドライの味噌汁より“手作り”に近いものだろう。好みの生味噌と生の葱が手作り感を生み出し、生姜と梅干が絶妙な風味を醸し出している。風邪の民間療法だが、即席味噌汁としてももっと世に出したい。

IMAGE因みに「生姜湯」の作り方も書いておこう。スライスした生姜の薄切り2〜3枚を網焼きして焦げ目をつけてカップに入れ、好みの量のハチミツと湯を注いで飲む。これも温まる。

生姜はしょうが科の多年草で原産は熱帯アジア、インド、マレーシア地方といわれている。中国では紀元前500年には薬として利用され、日本には3世紀頃に中国からもたらされたという。刺激的な味で顔をしかめるという意味の「ハジカミ」は山椒を指し「和のハジカミ」、それに対して生姜は中国から来た刺激的な味ということで「クレノハジカミ」、この「クレノ」は「呉の」を指し、中国を指しているという。

生姜はすりおろして「冷奴」「湯豆腐」の薬味というのは最も一般的。生のまま千切りにして味噌と合わせながら、これを薬味にしても美味い。またすりおろしではなく繊維をつぶさないように極細かいみじん切りにスライスして生醤油とあわせ、これに豆腐をつけて食べるとおろし生姜とはまた一味違った味わいが出て美味い。ついでだから加えさせてもらうが、風邪ひきの時に食欲の食欲が湧く、温まる“お粥”がある。白粥に豆腐を粗く切って入れ、千切り生姜と醤油少々、これに田舎味噌も少々添えて薬味にして食べる。ポイントは千切り生姜に生醤油を少々かけること。反対に生姜が醤油の中でびたびたに泳いではいけない。

IMAGE生姜は漢方薬の原料として古くからその薬効が利用されている。健胃・解毒・鼻詰まり・保温・腹痛・下痢・冷え性・夜尿症などに効果があり、漢方薬に欠かせない基本的な薬剤の位置を保つ薬効が強いのは新生姜や葉生姜より根生姜で、その根生姜を更に乾燥させたものの方が効果があるという。

品種については早生種の「谷中」「金時」などの小生姜、中晩生の「近江」「三州」の中生姜、大生姜の晩生「おたふく」「インド」などがあり、収穫期は9月と夏のものなのでその頃に機会があればお話したいと思っている。

ひとつ気になることはもともと中国から来たものなのに現代の中国産の生姜は味が大味で風味が弱く美味しくいないことである。食べ比べて見ると明らかに日本の生姜の味の方が深く、風味もよい。土壌の問題なのか、栽培の問題なのかはよくわからないが値段が安いという理由だけで輸入物に流れて欲しくないと切に思う。日本食にあう薬味として、国産の生姜の風味を子供達にもしっかり覚えさせたいものである。

今は、風邪を引いたら医者の薬が基本なのだろうが、それと対抗せよとは決して言っている訳ではないが、風邪のひきはじめにお母さんが作ってくれた生姜湯の味、お婆ちゃん秘伝の手作りの生姜の蜂蜜付けで汗を出して風邪を乗り切った思い出・・・などなど、今の若者や子供に食べ物で伝えたいことがまだまだたくさんある。