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わらびの季節になった。春の山菜といえば、「わらび」。一般市場に出回る山菜の中で、わらびの量がいちばん多いらしい。しかも、現在の取り扱い量より、過去の方がもっと多かったと聞く。「わらび」は、食用部分の新芽、赤ちゃんの握り拳状の若芽を食す。この“赤ちゃんの握り拳”から「わらび」と名がついたらしい。
「わらび」は日本全国、世界中にも分布しているという。多年草のシダで、春の野原などの日当たりの良い場所によく生える。食用には地上の部分を食べる訳だが、地下に根茎があり、その根茎は横に伸びていく。冬になると地上は枯れてしまうが、根茎は残っている。そして、「わらび」は採れば採るほど自生数が増えると聞く。芽を採られる刺激がそうさせるのだろうか?それとも採る際に、胞子から菌がバラ撒かれ、刺激されるのだろうか?
「わらび」にはプロキロサイドという発ガン性物質が含まれているという問題があるが、この発ガン性物質は1日220キロの「わらび」を、80日間食べ続けなければ 発ガンしないので、少量では季節に旬のものとして味わう程度なら全く問題がない。また、ビタミンB1をこわすアイノリナーゼという酵素も含んでいるが、熱を加えると無くなるので、こちらも安心。「わらび」は、ビタミンB1・B2・C・ミネラルがあり、栄養価の高い山菜と言える。
「わらび」は、平安時代には、山菜として食べられていたという。昔の人は茹でて直ぐ食べられない「わらび」を、「これを食べよう!」と思うなんて、今に伝えられる、美味い食べものに巡り合う度につくづく“先人達の知恵の豊かさ”を感ぜずにはいられない。
アク取りは、採ったその日のうちにするのがポイント。木灰をまぶし、熱湯をかけて落し蓋をし、一晩おくとアクが抜ける。「わらび」の青く黒いアク汁が出てきて、よい色に仕上っている。これを流水で洗い、真水に浸し、1日〜2日の内に食べる。おひたしや天ぷら、和え物・汁の具、茹でたのを叩いてとろろ状にしても美味い。新潟の食べ方らしいが、友人に教えてもらった食べ方がある。「わらびのもろみ漬け」である。晒したわらびの水気を切って、味噌入りのもろみ醤油漬け込んだものである。旬の「わらび」が手に入る頃にいそいそと作っては瓶詰めにしておく。これをお茶漬けに、おにぎりに添える。この「わらびのもろみ漬け」を口に入れると、「ああ、春も本番、真っ只中だなぁ。」と毎年思う。
日本人は、季節ごとの食を楽しむ。米・麦・大豆などの穀物をベースに季節の野菜、旬の恵をその順番に一ずつ楽しんでいると豊な一年が巡る。そんな生活が日本人の感性、美意識を磨く。「食」は、ただ食欲が満たされる満足感というレベルをはるかに越え、日本人の感性や人としての在り方を育む一番大切な基となるものである。先人達から教えられた、未来へ繋げられる「食文化」を何とかして残していけたらと思う。
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