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今月は、「三之助」を使って「豆腐百珍九十二、別山焼(べっさんやき)」を作りました。
百珍の「別山焼」とは、うどん状に切った絹ごし豆腐を醤油と酒で整えた出汁で温めておき、それをご飯を搗いて割り胡椒と味噌をまぶし、焼きおにぎり風にこんがりと焼き温めたご飯団子にかけて供す・・というもの。
作る際に、口に入るとお豆の香りと共にふわぁっと溶けて無くなってしまうような軟らかい三之助の豆腐では、はたしてうどん状に切れるのかといろいろな種類の豆腐で試しましたが、三之助豆腐を少々太めに切ることで、どうにかうどんの形状を作ることができました。
また、合わせる割り胡椒と味噌をまぶした焼きおにぎりの団子は、出汁が染み込んで、東北の“きりたんぽ”のような食感が楽しく、これに割り胡椒と味噌の風味がとても斬新で、いつもながらに、これもまた昔の発想とは驚きの一品でした。
この胡椒、日本に入ったのは奈良時代で、一般に使われるようになったのは江戸時代の前期。胡椒はうどんなどの薬味に多く使われたようです。しかし江戸の後期になると、薬味は七味唐辛子にとって代わられ、うどんに胡椒という図式はすたれていったのだとか。
毎回、“豆腐百珍”のレシピを一品ずつ再現することで、あっという間に二百数十年前までタイムスリップし、その頃に生きた人々の美意識や風情、そして所作までも体験できてしまいます。
今回の発見は、胡椒と味噌を香ばしく焼いた「風味の妙」でした。
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