三之助豆腐で作る豆腐百珍
【2008年】
【6月】 炒り豆腐
【5月】 ふわふわ豆腐
【4月】 交趾田楽(こうちでんがく)
【3月】 小竹葉豆腐(おざさとうふ)
【2月】 角飛龍頭(かくひりょうず)
【1月】 葛田楽(くずでんがく)

【12月】 真の八杯豆腐
【11月】 草のけんちん
【10月】 赤味噌の敷き味噌豆腐
【9月】 なじみ豆腐
【8月】 揚げ豆腐あげ
【7月】 叩き豆腐(たたきとうふ)


【十二月】 真の八杯豆腐

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今月は、三之助の「絹豆腐」を使って「豆腐百珍八十一、真の八杯豆腐」を作りました。

「真の八杯豆腐」とは、絹豆腐を出汁(又はみず)六、酒一、醤油一、合計で八杯。この出汁でひと煮立ちさせた豆腐料理です。出来上がりに大根おろしを添えて供します。

シンプルで簡単。覚えやすく、しかもとても美味しい豆腐料理です。

この八杯豆腐は、何でこんなに簡単なのに美味しいんでしょうか。

調味する出汁の割合が六:一:一で、合計八杯。この八分割がいわば、完成されたレシピといえましょう。しかも薬味の大根おろしとの相性が抜群で、豆腐の美味しさも引き立てます。

現代のこの時代にも通用する完璧と言いたくなるくらいな味わいのこの「八杯豆腐」は、時代にも繋げたい一品です。

簡単で美味しい「真の八杯豆腐」を是非お試し下さい。

材料と作り方 豆腐百珍 保存版

【十一月】 草のけんちん

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今月は、三之助の「三之助揚げ」を使って「豆腐百珍八、草のけんちん」を作りました。

「草のけんちん」とは、豆腐を揚げて細長く切ったもの、牛蒡、木耳、生麩、栗、芹、銀杏などを醤油味で炒め、これらの火薬(かやく)を湯葉で巻いて煮た料理です。

これは、豆腐百珍の尋常品「どこの家庭でも常に料理するもの」に含まれているものですが、現代社会の家庭では日常的に作られるものではなく、高級料理店や会席料理の部類に入るような、ひと手間かかる高級な料理と言えるのではないでしょうか。

醤油と酒で味付けるシンプルな「湯葉巻き」ですが、入っている具が複雑に絡み合って絶妙な味の奥深さを引き出します。芹の風味が“江戸料理”の香り・・と思わせるような斬新で、しかも現代の煮物の風味にはあまりないような高級感漂う香りにまとめています。

栗の食感も「茹で栗」や「栗ご飯」などのホクホクした食感とは違い、生から煮付けるとキュッと引き締まってコクが出ます。

豆腐百珍の七十七番に「真のけんちん」という、この「湯葉まき」を揚げ、けんちん酢という“調味酢”を添える料理がありますが、“尋常品”から“妙品”に格上げされています。“妙品”の解説には、形、味ともに備わり、正統的な料理という評価がされていますが、いまから「草のけんちん」の展開料理「真のけんちん」を作るのが待ち遠しい気持ちになります。

江戸時代から、今に通用する高級料理の味、形、風味をお楽しみ下さい。

材料と作り方 豆腐百珍 保存版

【十月】 赤味噌の敷き味噌豆腐

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今月は、三之助の「特選三之助」を使って「豆腐百珍三十六、赤味噌の敷き味噌豆腐」を作りました。

「赤味噌の敷き味噌豆腐」とは、信州味噌と八丁味噌をあわせ、酒で伸ばして器に敷き、その上に温めた豆腐を盛った豆腐料理です。

使用する味噌により、塩分や風味など味わいが異なりますので、必ず味見をして分量を調節して下さい。

「特選三之助」は、ほんのり豆の香りがして柔らかい・・というのが特徴のお豆腐ですが、敷き味噌とはなかなかの好相性で、それぞれの美味しさを引き立ててくれているようです。敷き味噌は、一度、酒で伸ばし、再び煮詰めるのですが、お酒の効果か、さっぱりとした味に仕上がります。今では、お豆腐といえば、“お醤油”が定番ですが、味噌あじでいただく豆腐の味もなかなかおつな味がする・・というのは、この「豆腐百珍」で学びました。当時は調味料として、今より多く使われていたようです。意外にあっさりと仕上がる江戸時代の調味料、味噌とお豆腐の好相性をお試し下さい。

材料と作り方 豆腐百珍 保存版

【九月】 なじみ豆腐

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今月は、三之助の「三之助豆腐」を使って「豆腐百珍三十七、なじみ豆腐」を作りました。

「なじみ豆腐」とは、水気を切った豆腐に酒で溶いた白味噌を馴染ませ、大根おろし・小口切りの長葱・青唐辛子の薄切りを薬味に添えた豆腐料理です。

使用する白味噌に寄って、塩分や風味など味わいが異なりますので、必ず味見をして分量を調節して下さい。

「三之助豆腐」は、布巾かキッチンペーパーで包み、半量位の重石(薄い板など)を掛けて、一、二時間位水切りをするとよいでしょう。

味噌のゆるさは、豆腐に絡まりつつ、お玉で救うと流れる程度。一口目には「やや薄い。」と感じる位が、全部食べ終わってちょうどよい塩分となります。青唐辛子の生と大根おろし、長葱の薬味と味噌だれの風味が、昔のものとは思えない新しい味の世界を教えてくれます。

塩・醤油・味噌、酒・みりん・酢などの基礎的な調味料。当時はこのような限られた食材や調味料の中で、如何に工夫をしてより美味しく、季節の移り変わりや自然からの恵みを上手に表現できるかを探求しました。美しく、美味しいものへ探求する心意気、江戸の“心意気の味”をご堪能下さい。

材料と作り方 豆腐百珍 保存版

【八月】 揚げ豆腐あげ

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今月は、三之助の「かちかち」を使って「豆腐百珍二十八、揚げ豆腐」(あげとうふ)を作りました。

「揚げ豆腐」とは、水気を切った豆腐を二口大に切り、全体がきつね色になるようにころがしながら揚げた"一口厚揚げ"のような豆腐料理です。

手本の"豆腐百珍"には、「豆腐の生っぽさを少なくするには二度揚げした方がよい。」とあります。充分に揚げる。つまり揚げた豆腐の内側にも生の豆腐を残さない揚げ方。長い時間をかけてよく揚げ、食感も風味も香ばしく仕上げるのがこつのようです。一口、二口で食べられる適度な大きさの豆腐をころがしながら揚げるというこの調理方法がこの料理の出来上がりの風味・食感を決めるポイントとなるのでしょう。

丁寧に手作りをした"揚げ豆腐"の揚げたての風味は、また格別です。自然塩や生醤油を少しかけてお召し上がり下さい。揚げたての豆腐の食感やその豆腐の原料の大豆の香ばしくて甘い風味さえ感じられる豆腐料理です。江戸時代から現代へと続く伝統の味をお楽しみ下さい。

材料と作り方 豆腐百珍 保存版

【七月】 叩き豆腐

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今月は、三之助の「焼き豆腐」を使って「豆腐百珍五十六、叩き豆腐」(たたきとうふ)を作りました。

「叩き豆腐」とは、焼き豆腐と味噌を包丁で叩いて合わせ混ぜ、卵白でつないで小判型にまとめ、小麦粉を塗して揚げた豆腐料理です。

味付けは豆腐と味噌だけ。焼き豆腐と味噌を包丁で叩いて混ぜ合わせることで、絶妙な食感と味わいが生まれ、独特な味わいと風味が醸し出されます。

素朴な味噌味と豆腐のふんわりした優しい食感。更にこれを小判型にまとめ、小麦粉を塗して揚げることにより、表面のさくさくした食感に、内側のふんわり感が加わって、味噌と大豆の相性の良さ、滋味の奥深さ、豊かな味わいの拡がりなどを再認識できる豆腐料理が出来上がります。

二口、三口、で食べられる適度な大きさが、軽く摘んでみたくなる食欲をそそり、また、葱など他の具財を入れると様々な味わいができるなど、現代においても応用の利く"豆腐百珍料理"だと思いました。

それにしても今回の「叩き豆腐」を通して、当時の料理の数少ない調味料の組み合わせ方やシンプルな調理の仕方など、シンプルだからこそ工夫し、シンプルな素材が故にその滋味の奥深さを知ることができるということを改めて、江戸時代の食文化から学ばせてもらったような気がします。

材料と作り方 豆腐百珍 保存版

【六月】 炒り豆腐

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今月は、三之助の「三之助豆腐」を使って「豆腐百珍八十五、炒り豆腐」(いりどうふ)を作りました。

一口大に切った三之助豆腐を充分に油を染みこませた焼き鍋でこんがり焼き、青海苔を粉末にしたものに熱い油を少量ずつかけて熱し、醤油で味付けして炒りつけたものを薬味として振りかけた料理です。青海苔をただそのままかけるのではなく、熱した油をかけて更に香ばしく火を通し、醤油味に炒りつけたものを薬味にするという工夫は、当時の数少ない調味料群の中で、如何に工夫して美味しいものを作るかという精神に富んでいて著者のアイデアの巧みさ、美意識に頭の下がる想いが致しました。

上からかける油は、ごま油が合うようで、青海苔とごま油の香ばしさが喧嘩をせずに引き立て合っています。

木綿豆腐、青海苔、油、醤油だけのシンプルな材料だけで、誰にでも作れてしかも薬味使いの意外性と奥行きのある味わい。云わば「江戸時代風豆腐ステーキ」といった趣です。ふわっとした豆腐の優しい甘味に、新食感の香ばしい青海苔の薬味。さすが、豆腐百珍の妙品の味と思わせる豆腐料理でした。

材料と作り方 豆腐百珍 保存版

【五月】 ふわふわ豆腐

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今月は、三之助の「三之助豆腐」を使って「豆腐百珍二十一、ふわふわ豆腐」(ふわふわとうふ)を作りました。

ふわふわ豆腐とは豆腐をすり鉢でよく擦り、泡立てた卵と更によく擦り合わせ、煮立たせたすまし汁の中に流し込んでふんわり膨らませて仕上げた卵豆腐に割り胡椒の風味をあしらった豆腐料理です。

すり鉢で豆腐と泡立てた卵を丁寧に擦り混ぜることで、豆腐と卵が渾然一体と混ざり合い、豆腐が勝つでも、卵が勝つでもなく、何ともいえないふわっとした食感の優しい味の卵豆腐になりました。

薬味の胡椒は、この豆腐百珍のコーナーでは、もうお馴染みの風味。現代の料理にはない江戸料理の風味を醸し出しています。

解説文には、これをご飯にかけて「ふわふわ丼」にしても結構いける。・・・とありますが、すまし汁の出汁の質やお豆腐、卵の味や鮮度が味の決め手となる、シンプルの極みのようなお豆腐料理だと思いました。

天然の昆布だけの出し汁、大豆のほんのりとした旨味が感じられる三之助豆腐、泡立てた卵のふんわりとした優しい食感をご堪能下さい。

材料と作り方 豆腐百珍 保存版

【四月】 交趾田楽(こうちでんがく)

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今月は、三之助の「かちかち」を使って「豆腐百珍七十八、交趾田楽」(こうちでんがく)を作りました。

交趾田楽とは豆腐の水を切り、田楽用に下ごしらえをし、串を打って下焼きをします。一度目は、醤油を塗ってうま味と焼き目をつけます。更に二度目はごま油を塗って焼き、コクをつけます。そして最後に片面に唐辛子味噌を塗って仕上げます。田楽が出来上がるまでに合計三回も焼く訳です。

田楽の下焼きにごま油を塗ることで唐辛子味噌がいちだんとコクを増し、豆腐の甘味を引き立てるのにはびっくりしました。

この交趾田楽を食べて、二百数十年前の料理にこのようなごま油の使い方を用いていたなんて、江戸の食文化の奥行きの深さに改めて驚かされました。

現代の調理ではこのようなごま油の使い方は一般的にはしません。私達は、食材ひとつひとつの特徴を知った上でその特徴を充分に活かしでいるでしょうか。思い込みや既成の情報の範疇だけでなく、自分の感覚を信じてもう一度検証し、今、改めて食材の真価を捉えなおす大切さを教えてもらったような気が致しました。

材料と作り方 豆腐百珍 保存版

【三月】 小竹葉豆腐(おざさとうふ)

IMAGE 今月は、三之助の「かちかち」を使って「豆腐百珍五十、小竹葉豆腐」(おざさとうふ)を作りました。

小竹葉豆腐とは田楽用に下ごしらえをしてこんがり焼き目をつけた“焼き豆腐”を醤油とみりんで味付けした出汁で煮て、半熟の卵とじにしたものに胡椒風味を添えて供すという百珍料理です。

焼き豆腐を田楽の下処理の方法で作ると表面は焼き目がついて硬く香ばしくなり、また内側は甘くふんわりしてことさらに豆腐の旨味を感じます。これを小竹葉のような大きさに手でちぎって鍋に入れて煮て卵とじにする訳です。豆腐の甘さと卵のふんわりした食感とこっくりした甘味。奥行きのある素材の滋味をじっくりと味わえる・・そんな豆腐料理だと思いました。

出汁6に醤油とみりんが1ずつというこの料理にぴったりな絶妙なだしの割合に、当時食した人達もこの上ない贅沢な味わいをきっと感じたに違いないと想像してやみません。当時の豆腐料理の美味しさを200年余りもの時間を経た今に伝えられるのは、江戸時代というあらゆるものが栄えた豊かな時代に「豆腐百珍」という料理レシピ本がベストセラーになったお陰です。使用する材料の豆腐と基本的な調味料を準備するのは、偽者や本物が氾濫する中で選択眼が問われますが、本物に近いものを用意すれば当時のものとそうは変わらないように思えます。きっと今の時代でも当時に近い味を再現できているのだと思います。

豆腐百珍の小竹葉豆腐を当時のお殿様お姫様気分で味わってみるのもきっと楽しいかもしれません。

材料と作り方 豆腐百珍 保存版

【二月】 角飛龍頭(かくひりょうず)

IMAGE今月は、三之助の「かちかち」を使って「豆腐百珍六十八、角飛龍頭」(かくひりょうず)を作りました。

角飛龍頭とは練った豆腐の種に百合根や栗、牛蒡、木耳、麻の実などの具を入れ、型に入れて蒸し、食べる直前にごま油で揚げた「四角いひりょうず」をいいます。

中の具に百合根や栗といった豪華な食材が入り、また、食べた時のささがき牛蒡の食感がおもしろく、木耳の黒が出来上がりの色を引き締め、切り口を色鮮やかにしてくれます。食べる直前にごま油でこんがり狐色に揚げると、香ばしい香りが広がって高級感、ボリューム共に満点の“ひりょうず”が出来上がります。

もともと「ひりょうず」や「ひろうす」という言い方は上方の表現のようです。長崎では肉団子のことを「ヒロス」といい、ここから「ひりょうず」と呼ばれるようになったという説があります。また無造作に丸めた団子の形が龍の頭のようであることから「飛龍図」(ひりゅうず)と呼ぶようになったという説もあります。関東では「がんもどき」や「がんも」と呼び、揚げた豆腐を肉に見立てて「雁もどき」といいました。

何れにしろ戒律の厳しかった僧侶の肉への憧れは強かったようで、○○もどき・・・のような、動物性食品を使わない“もどき料理”というものが発展していったようです。

“もどき料理”といっても「見た目」や「味」に当時の工夫や知恵の豊かさがあり、その内容に圧倒されてしまいます。今から二百年も前の料理人の心、もどき料理の味の妙をお楽しみ下さい。

材料と作り方 豆腐百珍 保存版

【一月】 葛田楽(くずでんがく)

IMAGE今月は、三之助の「かちかち」を使って「豆腐百珍三十五、葛田楽」(くずでんがく)、別名祗園豆腐を作りました。

祗園豆腐とは、京都八坂神社門前の二軒茶屋で売った田楽を指します。薄く切って串に刺した豆腐を焼き、当初は焼いた田楽に白味噌仕立てのタレを塗り、麦焦がしのようなものを振って売り出し、人気を博したようです。その後改良を加えて木の芽を加えたものになりましたが、江戸にもこの料理名が知れ渡り、豆腐田楽といえばこの「祗園豆腐」の名を誰もが知っていたようです。この「祗園豆腐」の西京味噌仕立ての味が、甘いものの無い時代に“美味しい”と評判になった理由の一つなのでしょうが、田楽に二本串を使う京ならではの風情や茶屋の店頭で見せた豆腐の早切りにも「祗園豆腐」の名で呼ばれ広まるようになった由来があるようです。

今回の「葛田楽」は、田楽用に下処理をした豆腐に葛の出汁を塗り、焼麩の砕いたものを振りかけて再び焼く・・とあります。大麦を炒り、粉に引いたものを麦焦がしといいますが、京都ではこれを「お散らし」と呼び、当初の祗園豆腐に振りかけたという説もあるようです。

暫しタイムスリップをして江戸時代の京の茶屋の味、「祗園豆腐」の香ばしい風味を体感してみてはいかがでしょう。

材料と作り方 豆腐百珍 保存版