今月は、三之助の「三之助揚げ」を使って「豆腐百珍八、草のけんちん」を作りました。
「草のけんちん」とは、豆腐を揚げて細長く切ったもの、牛蒡、木耳、生麩、栗、芹、銀杏などを醤油味で炒め、これらの火薬(かやく)を湯葉で巻いて煮た料理です。
これは、豆腐百珍の尋常品「どこの家庭でも常に料理するもの」に含まれているものですが、現代社会の家庭では日常的に作られるものではなく、高級料理店や会席料理の部類に入るような、ひと手間かかる高級な料理と言えるのではないでしょうか。
醤油と酒で味付けるシンプルな「湯葉巻き」ですが、入っている具が複雑に絡み合って絶妙な味の奥深さを引き出します。芹の風味が“江戸料理”の香り・・と思わせるような斬新で、しかも現代の煮物の風味にはあまりないような高級感漂う香りにまとめています。
栗の食感も「茹で栗」や「栗ご飯」などのホクホクした食感とは違い、生から煮付けるとキュッと引き締まってコクが出ます。
豆腐百珍の七十七番に「真のけんちん」という、この「湯葉まき」を揚げ、けんちん酢という“調味酢”を添える料理がありますが、“尋常品”から“妙品”に格上げされています。“妙品”の解説には、形、味ともに備わり、正統的な料理という評価がされていますが、いまから「草のけんちん」の展開料理「真のけんちん」を作るのが待ち遠しい気持ちになります。
江戸時代から、今に通用する高級料理の味、形、風味をお楽しみ下さい。
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