三之助豆腐で作る豆腐百珍
【2009年】
【6月】 えび豆腐
【5月】 骨董豆腐
【4月】 加須低羅(かすていら)豆腐
【3月】 濃醤(こくしょう)
【2月】 小倉(おぐら)豆腐
【1月】 金砂(すなご)豆腐

【12月】 速成凍豆腐
【11月】 糟入り豆腐
【10月】 墨染豆腐
【9月】 鞍馬豆腐
【8月】 再び田楽
【7月】 石焼豆腐



【十二月】 速成凍豆腐

鞍馬豆腐

今月は、三之助の「三之助豆腐」を使って「豆腐百珍十三、速成凍豆腐」(はやこごりどうふ)を作りました。

「速成凍豆腐」とは、原文には「切って熱湯をかけて外に出し、極寒に昼夜さらして、翌日使うとありますが、現在では家庭の冷凍庫を利用すれば、乾燥した高野豆腐と重ねた湯葉の中間のような凍豆腐が作れます。

まず、三之助の「三之助豆腐」を4日以上そのまま冷凍し、5日目に自然解凍。豆腐の余分な水を抜いて切り、熱湯をかけ、更に冷凍して出来上がり。

この方法なら豆腐を余らせることなく有効に使えます。しかも美味しく。

季節の野菜と炊き合わせてもよいし、下味をつけて衣をつけて揚げるとまるで「鶏のから揚げ」のような味と食感です。

もしお豆腐を余らせるようなことがあれば、冷凍し、半生状態の高野豆腐を作ってみてはいかがでしょう。

江戸時代からの調理法がご家庭で再現できることにきっと感動することでしょう。

 

材料と作り方 豆腐百珍 保存版

【十一月】 糟入り豆腐

鞍馬豆腐

今月は、三之助の「三之助豆腐」を使って「豆腐百珍六十四、糟入り豆腐」(かすいりとうふ)を作りました。

「糟入り豆腐」とは、三之助の「三之助豆腐」を充分に水切りし、下煮し、もろもろとまるで糟(かす)のようになったら、こちらもまた、醤油、酒、味醂で下煮した鯛、鴨、焼き栗、木耳、油揚げなどと合わせ、もう一度さっと煮合わせた豆腐料理です。

作り方は、とてもシンプルですが、鯛や鴨、焼き栗などが入り、「豆腐百珍五十五、砂金豆腐」の中身のような高級感の漂う料理です。きっとお殿様や高貴な方が召しあがったのでしょう。味も絶品。いろいろな具が入っていますが、醤油、酒、味醂で優しい味に仕上げています。

この料理を応用して他の煮物へも、このもろもろとした糟のようなとうふを仕上げに加えても良いかもしれません。また、最後に「砂金豆腐」のように摺り山椒を少し振ってもよいでしょう。

この機会に、ぜひ江戸の香りと味をご堪能下さい。

 

材料と作り方 豆腐百珍 保存版

【十月】 墨染豆腐

鞍馬豆腐

今月は、三之助の「三之助豆腐」を使って「豆腐百珍二十四、墨染豆腐」(すみぞめとうふ)を作りました。

「墨染豆腐」とは、三之助の「三之助豆腐」の水気を充分に絞り、粉にした昆布と合わせ、茶巾にして茹でたものを澄し汁の具にし、青ゆずをあしらい供すという百珍料理です。

解説には昆布を炙るとありますが、昆布は硬くて簡単に揉んでパリパリできるものではありません。オーブンなどの余熱に一晩当て、充分に昆布を乾燥させ、更にすり鉢で細かくすると良いでしょう。

また、茶巾にする際には、昆布とともに絞った豆腐をフードプロセッサーで撹拌し、更にすり鉢で粘りが出るまでよく混ぜるのがコツです。

さっぱりしたゆずの香りが効いた澄まし汁にこっくりと昆布の旨みのする豆腐の茶巾。自然の旨みの奥深さに改めて驚かされます。

豆腐を昆布でうっすら黒く染めたのは僧侶の袈裟に見立てた・・・という意味もあるようで、江戸の粋さ、美味しさと品の良さがキラリと光る一品でした。

 

材料と作り方 豆腐百珍 保存版


【九月】 鞍馬豆腐

鞍馬豆腐

今月は、三之助の「かちかち」を使って「豆腐百珍九十九、鞍馬豆腐」(くらまとうふ)を作りました。

「鞍馬豆腐」とは、三之助豆腐の「かちかち」の水気を絞り、一丁を1/4にして、まず丸ごと揚げ、外側の皮を手で剥いて形を整えます。半分は、湯煮して梅びしおに芥子の実を添えて供し、もう半分は割り醤油で煮て粉山椒を添え、供すという豆腐料理です。

鞍馬豆腐は、豆腐百珍の中の六つの分類で最上級の「絶品」になっています。「絶品」とは、「さらに妙品に優るものである。奇品、妙品は最上の美味ではあるが、うますぎるきらいがある。絶品は、ただ珍しさ、盛り付けのきれいさにとらわれることなく、ひたすら豆腐の持ち味を知りえる絶妙の調味加減を書き記した。豆腐好きの人ならば、必ず食すべきものである。」と解説し、百品の内の七品に当たりますが、実に美味しい一品と評価しています。

一度揚げた豆腐の皮を剥いて、湯煮又は割り醤油で煮た豆腐は、「油の味がほのかな旨味に変わり、上品な味に仕上がっている。」と解説書にありますが、正しくその通りで、手間は相当掛かるが、絶妙な調味加減と表現するに値します。割り醤油で煮た豆腐に山椒の香りは、私達が勝手に通称、「江戸の香り」と呼んでいるように、改めて先人達の知恵の素晴らしさを確認できるものでした。一旦、揚げてから皮を剥く手法と共に現代でも通用するものだと学習させられました。

 

材料と作り方 豆腐百珍 保存版


【八月】 再び田楽

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今月は、三之助の「かちかち」を使って「豆腐百珍十一、再び田楽」(ふたたびでんがく)を作りました。

「再び田楽」とは、三之助豆腐の「かちかち」の水気をしぼり、田楽状に串に刺し、醤油を塗って下焼きをします。更に、田舎味噌を酒で割ったものを塗り、再び焼いた豆腐田楽です。

田楽に塗る味噌は、田舎味噌とありますが、信州味噌、或いは好みの合わせ味噌などシンプルな味のするものがよいでしょう。同量の酒で割って、ツヤが出るまで練ったら、先に醤油で旨味を着けた、田楽に塗って再び焼きます。

素朴な味わいの田楽なので子供から老人にまで愛され、また、お八つから酒のつまみとして幅広く、人気が高かったのではねいでしょうか?

大豆で作った豆腐の味わい、味噌の香ばしい味わい、素朴だからこそ奥深さを味わえる豆腐料理でした。こんな簡単で美味しいレシピを現代の子供達のお八つに加え、残していけたら・・と改めて思いました。

皆様も、ぜひお試し下さい。

 

材料と作り方 豆腐百珍 保存版

【七月】 石焼豆腐

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今月は、三之助の「かちかち」を使って「豆腐百珍八十三、石焼豆腐」(いしやきどうふ)を作りました。

「石焼豆腐」とは、三之助豆腐の「かちかち」の水気をしぼり、食べやすい大きさに切って、フライパンか鉄板、ホットプレートなどでシンプルに焼いておろし大根と醤油でいただくという豆腐料理です。

ただ焼くだけのとてもシンプルな調理は、素材の良さが引き立ちます。良質な大豆の甘味、豆乳の香ばしい香りが辺りに漂います。その豆の甘さに大根おろしと生醤油が互いを引き立てあいます。

「ただ、ごま油で焼く」だけですが、こうすることで、従来の豆腐が別のものに変身します。豆腐が持つ味と共に、油が加わり、豊かさを膨らませます。正しく畑のお肉。ボリュウムある畑のお肉は、大根おろしのさっぱり感と相まって、この味を嫌いな人は日本人にはいないでしょう。先人達のDNAが時代を超えて、私達に残してくれました。

お豆腐の魅力、薬味の効果、調理の妙などシンプルなゆえに奥深さを味わえる料理でした。ぜひお試し下さい。

 

材料と作り方 豆腐百珍 保存版


【六月】 えび豆腐

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今月は、三之助の「かちかち」を使って「豆腐百珍九十、えび豆腐」(えびどうふ)を作りました。

「えび豆腐」とは、三之助豆腐の「かちかち」の水気をしぼり、生のえびや長葱、わさび、大根おろしと一緒にそぼろ状にホロホロと炒めた豆腐料理です。

えびの甘い香りに葱や大根おろしの薬味の香りがプラスされ、また、豆腐が炒り卵のようで、何とも優しい味に変化します。

お手本には、「豆腐、えびと長葱やわさび、大根おろし等全て一緒に入れ・・・」とありますが、大根おろしとわさびは、薬味の風味を消さないように、火を止めてから加える方がよいように思います。

豆腐の大豆色と相まって、えびに火が通ると、ほんのりピンクに色着き、長葱のみじん切りと生わさびのみじん切りが薄っすら黄緑色、最後に水分を少し切った大根おろしの白が、この料理の色の美しさを作っています。

これは、江戸の庶民の料理というより、きっと御殿様やそういった人達の高級料理だったのでは?と思います。

ほんのりと優しい味わいや色彩は、今の季節、「春」に相応しく、柔らかな感触を与えてくれます。この機会に是非、優しい春料理をお試し下さい。

 

材料と作り方 豆腐百珍 保存版


【五月】 骨董豆腐

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今月は、三之助の「三之助豆腐」を使って「豆腐百珍八十八、骨董豆腐」(ごもくどうふ)を作りました。

「ごもく豆腐」とは、醤油に花鰹を一面敷いた上に、葛で温めた豆腐を置き、赤唐辛子の輪切りスライス、大根おろしに長葱の薄切りスライスをのせ、川  海苔を天盛りし、いただく時は、全てを混ぜ合わせて、小皿に取り、食べると言う「湯豆腐のごちゃ混ぜ風」料理みたいなものです。手本の本にも「ごちゃ混ぜ」にするのも結構美味・・・ ご飯に乗せて食べるのもまたいい・・・ とあります。

原材料の一つ一つは、豆腐をいただく時に通常使われるシンプルな薬味ばかりですが、全体を混ぜることにより、また別の新しい味になっているようです。
川海苔の風味が全体をまとめる・・・いい役目をしていて、また、葛湯で豆腐を温めることも、全体を混ぜたときの口あたりが優しく、よく馴染むことも微妙に影響していると感じられます。

「骨董」とかいて「ごもく」と読む当て字は、「ごちゃ混ぜ」にして食べるところから来たのでしょう。

最初の盛り付け時の色の美意識。次にそれを「ごちゃ混ぜ」にして出来上がる味の美意識をご堪能下さい。ご飯を添えて。

 

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【四月】 加須低羅豆腐

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今月は、三之助の「三之助豆腐」を使って「豆腐百珍九十一、加須低羅豆腐」(かすていらどうふ)を作りました。

「加須低羅豆腐」とは、三之助豆腐の「かちかち」を一晩酒に浸し、そのまま四時間煮るという豆腐料理です。豆腐の表面に細かい穴が開き、お菓子のカステラのようだとこの名がつけられたようです。

「加須低羅豆腐」というと蒸すのだろうと思ってしまいますが、酒でコトコト四時間も煮て、あの細かい気泡を作り、豆腐の食感を変えるという方法は、ちょっと想像できませんでした。

酒のいい香りが辺りに漂い、豆腐の表面も卵焼きのように締まってもとの様子から変化します。1cm厚さに切って、わさび醤油を添えるのがおすすめです。又、汁物の具としても、煮物の具としても利用できるのではないでしょうか?

酒で煮ることで日持ちも良くなっているので、江戸時代の台所では、かなり重宝したことでしょう。

限られた食材、調味料の中で、節約ではなくただシンプルに、美味に、美しくと追求していった当時の知恵に、本当の豊かさの真意が問われているような気がしました。

 

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【三月】 濃醤

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今月は、三之助の「三之助豆腐」を使って「豆腐百珍二十、濃醤」(こくしょう)を作りました。

「濃醤」とは、三之助豆腐の「かちかち」の水気を充分に切り、濃い味噌の汁で豆腐をコトコト煮、割り山椒と花鰹を添えて供すという豆腐料理です。

「濃醤」と書くと濃い醤油で煮るのだろうと連想しますが、白味噌とその他の味噌の合わせ味噌で煮るとあります。また豆腐は、いわゆる汁の具では無く、鯉こくの様に、水気を抜いて絞った後に、濃い目の味噌汁で15分位、煮るとあります。。

お味も、どんなに濃厚な味だろうと想像しますが、初めに想像した味とは異なり、返って素朴な豆腐の味や味噌の味に驚きます。

硬く絞った豆腐を更に味噌でじっくり煮ることにより、口に含んだ時に、返って新しい豆腐の食感も覚えます。この新鮮な豆腐の食感と濃い目の味噌味の汁の好相性も中々素晴らしいものでした。

豆腐の素朴だけれども深い味わい。現代には無い、新しい感覚の食感。シンプルな調理法なのに斬新な割り山椒の香りも高く、しかも美しい。

現代の私達には学ぶことが多い豆腐料理と言えそうです。

 

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【二月】 小倉豆腐

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今月は、三之助の「三之助豆腐」を使って「豆腐百珍六十六、小倉豆腐」(おぐらどうふ)を作りました。

「小倉豆腐」とは、三之助豆腐の水気を充分に切り、生地をすり鉢でよく擂って滑らかにし、魚のすり身でつなぎ、もみ海苔を加えてかまぼこ板へすり付けて蒸し、すましの具にしたものです。

「金砂豆腐」同様、手順は多いのですが、滋味深い味わいで高級感のある「料亭のおすまし」のような一品です。

もみ海苔を加えることで表面の色がにごり、この色を小豆色に見立てて「小倉豆腐」と言ったのでしょうか。

解説の通り、お豆腐の香りがする素朴なはんぺんのようで、わさび醤油でいただくのも美味しそうです。

素朴な滋味深い味わいもそうですが、赤い椀に四角い小倉色の蒸し物。これに黄色い柚子を添える。見た目にもちょっとした芸術作品です。食べてしまうのがもったいないような目にも美しい料理でした。

食べて美味しい、見て美しい江戸の美意識をご堪能下さい。

 

材料と作り方 豆腐百珍 保存版


【一月】 金砂豆腐(すなごどうふ)

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今月は、三之助の「三之助豆腐」を使って「豆腐百珍十六、金砂豆腐」(すなごどうふ)を作りました。

「金砂豆腐」とは、三之助豆腐の水気を充分に切り、生地をすり鉢でよく擂って滑らかにし、卵白でつないでかまぼこ板へ、更に裏ごしたゆで卵の黄身をのせ、二色にして蒸し上げたものです。

手順は多いですが、ひとつひとつの作業は至ってシンプルであり、素朴な味わい、しかも色鮮やかな一品です。

お正月料理の一品やおもてなしの献立に加えてはいかがでしょうか。

「金砂豆腐」を食べた人は、その優しい味と美しさに日本料理の原点を見るような想いにかられるでしょう。

かまぼこ板の代わりに押し寿司などの木枠などでもよいでしょう。茹で卵の黄身のうらごしを豆腐の上にのせて軽く押さえるのに重宝します。ポイントは、充分に冷ましてから切ると綺麗に切れます。

原材料の味と砂糖、塩だけの調味の技をご堪能下さい。

江戸時代の味を「ああ、美味しい。」と感じることが、現代に生きる私たちの役目として、次代に日本の心を繋ぐことができる一つの行為です。

江戸の料理、心、文化をあらゆる角度からお楽しみ下さい。

材料と作り方 豆腐百珍 保存版